犬の帰宅

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花のズボラ飯2巻感想〜ほらおなかから、あたたまるだろう〜

花のズボラ飯(2)

花のズボラ飯(2)

主婦・駒沢花は30歳。ラブラブな旦那は単身赴任でたまにしか会えない生活。
ちょっと寂しくなる時もあるけれど、愛とご飯さえありゃ、今日も楽しく過ごせるのさ。


そんなわけで、ドラマ版「孤独のグルメ」好評な久住昌之氏と、異能の新人・水沢悦子の異色タッグが話題を呼んだ「花のズボラ飯」2巻が発売されました。「このマンガがすごい!」2011年オンナ編1位を獲得ってんだからたまげたもんですね。


ストーリーとしてはご存知主婦の花さん(30)が、ネコまんまからポトフまで気分とテンションに応じてご飯を作ったり食べたりまた食べたりゴロゴロしたり、というお話。「ズボラ飯」という通り、マンガに描かれている料理の多くは楽してササッと出来るものが大半。時にはキチンと手をかけて作ることだってあるけど、毎日毎日それをやるのはちょっと辛い。でも、美味しいものを食べるとやっぱり元気が出るわけで。そんな日常の1コマを切り取った作品なのですが、これがまた見ていて本当に楽しいんですよ。


なんでも美味しそうに食べる花さんのキュートさもさることながら、作ること・食べることのみならず、日常的な細々とした周辺描写まで描いているのが魅力的。本屋でのアルバイト、イケメン店員のいるパン屋さんや学生時代からの親友・ミズキとのやりとり、実家や旦那のゴロさんとの電話など、花さんを巡る人々との何気ない会話。あるいは、過ぎゆく季節やイベントといった中での様々な描写などなど…。そういえば、「孤独のグルメ」も作画の谷口ジロー氏の非常に細かく写実的な絵が大きな特徴。「ズボラ飯」は絵のタッチはまったく異なりますが色々と細かい描写もあり、じっくり読んでしまいます。


・大人であるということ

そんな作品ではありますが、何が一番大きな特徴かというと、やっぱり主人公たる花さんの存在感なんじゃないでしょうか。表紙からして分かるようにメチャメチャキュートなんですよ。でも、ただ単にカワイイだけじゃあない。何故って花さんは30歳の主婦なのだから。




上記は両者共に電車内での花さんの描写ですが、「草食系男子」という言葉にイラつく場面と、電車内での大学生2人組の会話を聞いていた時の花さん。上から目線ってのともちょっと違う、言うなればニアリーおばちゃん目線なんですね。やっぱり小僧どもとは年季がちょっと違う。結婚して毎日主婦業を行なっているだけある。


ご飯を食べる時は何時でもメチャメチャ楽しそうですが、いつもいつもハッピーに暮らしてるというわけではありません。本屋のバイトでは客に対してむかっ腹を立てる時もあるし、旦那さんのことは大好きだけど、中々一緒にプライベートな時間を取れないことにイラッとして酷いメールをしたりもする。ダイエットはちょいちょい頑張っているものの、痩せる兆候が見える気配はないし、散らかした部屋はナチュラルに見ないフリもする。そんな主婦生活の中でやってくる、ちょっとしたイヤーなこととかメンドクサイことも、それなりにキチンとリアルに描いている。その辺が作品をグッと魅力的にしている要因になっているのかな、とも思います。


・花さんと時間の流れと

特に今回発売された2巻の特徴としては、花さんの生活が今まで以上に大きく垣間見えるようになったことと、四季の移り変わりが見られます。前巻でも冬にはコンビニをハシゴしたり夏にはトコロテンを食べたりしていましたが、2巻ラストで花さんが31歳の誕生日を迎えるように、作中の時間が大体リアルな季節に応じて過ぎているのですね。そのように時間が過ぎるということは、やはり何らかの変化が起こるということでもあり。特に花さんの親友・ミズキに結構大きな変化が起こったのは今後も目が離せないところ。


同時に、花さん自身にも今までは見えなかった、ちょっとしたことが見えるように。詳しい話はそれこそ単行本を読んで頂きたいのですが、やっぱり花さんだって色々抱えているわけです。当人自身はそれをどう思い、どう感じ、どう考えているのかはちょっと分からないですけれどね。


基本的にとってもハッピーなマンガではありますが、何とも続きが気になる展開となり、次はどうなるんかなーと結構楽しみになってきたのは個人的にもちょっと意外でした。今まで声でしか出て来なかった旦那のゴロさんは次では出てくるのか?ミズキや隣家の夫婦は今後どう変わっていくのか?そして肝心の花さんは…?
いつもいつも楽しく暮らせるわけじゃない。時にはイヤーなことも辛いこともあるのが日常。それでも、毎日のご飯と愛さえあれば、きっと明日もなんとかなるさ。そんなラストが印象的な2巻でした。