犬の帰宅

マンガとか料理とか音楽とかマンガとか

5月5日のコミティア100に行ってきたよメモ

遅まきながら、5月5日に開催されたCOMITIA100に行ってきましたー。マンガ同人誌を中心に、CDやグッズ等々、とにかく「オリジナル」の作品が集まるイベント。100回開催記念!ってことで、いつも以上に多くの方々が来られたようで。会場の規模の割には毎回比較的まったりした感じなのですが、今回はいつも以上のサークル数(5600以上!)かつ、いつも以上の来場者がいたようにと思います。僕自身は去年あたりから恐る恐る足を運び出した新参者で、最初の頃はただただ「すげーなー」と圧倒されていたばかりなのですが、ようやくその場のノリ(?)というかテンションを掴めたのか、これまで以上に楽しむことが出来ました。

というわけで、今回買わせて頂いたマンガ等の一部についてちょいと書いてみようかと。いうても、本当に膨大なサークルさんが参加なされている中で、僕が見ることが出来たのも本当に一部分だけで、いやあホントにスゴイもんです。一応サークルチェックなどして事前に読みたいものは抑えておくのですが、まぁグルグル歩いていると、そりゃあ色んな作品が目に付きますからね。テンションも上がりますからね。お金も飛びますよね…。



『さよならの言葉を考えている』 三山タロウ(CLR/day)
高校生の女の子・遙の下にやってきたアンドロイドのアンちゃんは、あとひと月で保証期間が終了する。別れを惜しむ遥の友人たち、2人きりでの海辺のデート、冬はゆっくりと春に近づいていく…。
10ページの短編ながらも、遥とアンちゃんの抑制的な感情の描写がとても印象的な作品です。アンちゃんがやってくる契機となった遥の過去、また、そのアンちゃんとの「別れ」など、背景にはちょっぴりシリアスな雰囲気を感じさせます。しかし、そうした要素は前面には出さず、ほんのりと切なく、ほんのりと前向きさも感じさせる筆致がとてもグッときます。
少女の友達との別れ、成長を描いた『そのうち忘れてしまうこと』、亡くなった姉にそっくりなクローンと妹の日々を描く『変わり変わる』といった既刊も読ませて頂きましたが、それぞれテーマや話は違えど、淡々と描写される切なさと暖かさがとても印象的。



『あめ玉オクテットふかさくえみ(すこやかペンギン)
寄稿やペーパーマンガ等の8作の短編を収めた作品集でありますが、冒頭の4コマ「世界は君の色」でもう一気に心を鷲掴みにされました。気になるクラスの男子・森岡くんを露骨に避けつつも、やっぱり気になってしまう優等生・相沢さんの恋のはじまり。不器用な2人の描写に思いっきりニヤニヤさせられつつも、白黒とカラーという紙媒体の特性を最大限に活かした描写が本当に魅力的。同人誌だからこそ自由に出来る表現というのでしょうか。
頬を染める体温。一方通行な気持ちが通じあった瞬間。「世界が違って見える」ということが鮮やかに描かれていることに思わずハッとさせられます。そしてやっぱりニヤニヤと悶える…!
占いに翻弄される少女を描く『ミライPLUS』や、タイムマシンでやってきたキンチャクガニがキュートな『K・A・M』など、他の作品もちょっぴりファンタジー?ちょっぴりSF?な、すこしふしぎな雰囲気に溢れています。『ひらり、』vol5の「ツバキ准教授の門限」やvol7の「氷糖プレパラート」といった商業誌での作品も、なんとも一味違うグッとくるマンガなのでオススメです。



『たべもの裁判』 ぱらり
高校生・田部野豊が目覚めた時、彼は「たべもの裁判」の被告人として法廷に立たされていた。戸惑う彼を尻目に繰り広げられる検事と弁護人の熱い法廷バトル。一体何故こんな目に?舌戦の先に見えた真実とは。過ちとは。そして彼が行った決定的な悪事とは…。
柔らかい描写と洒落た雰囲気の表紙に惹かれて手に取ってみたのですが、奇妙かつクスリとくる前半、その雰囲気を保ちながらも一気にシリアスに真相に迫る後半・ラストの展開が絶妙な作品。
食べるということは生きるということ。生きるということは誰かと共に歩むということ。それを粗末にするということは…なんてことを考えたりしたり。弁護人として登場するはっちゃけたヒロインのコロコロと変わる表情のキュートさもグー。



「むしくひ文庫」むしくひ文庫
古本屋の店番を手伝う小学生とその同級生のひと夏を描く「店番とアイス」。挟んだ本を朗読してくれる小型アンドロイド・しおりちゃんを巡る女子高生の心理を描く「しおりちゃん」。文芸サークルで作家を目指すべく不透明な日常を過ごす留年大学生の「迷鳥羽を休める」。本を巡る三者三様三作品が収められた合同誌。
それぞれ絵のタッチも読後感も異なりますが、いずれも日常の1コマを描写した作品集。淡い恋を描く「店番とアイス」にニヤニヤしつつ、「しおりちゃん」の女子高生2人の何気ないやり取りと心情を眺めつつ、個人的にはラストの「迷鳥羽を休める」に描かれた日々のやるせなさや、ちょっと鬱屈したりといった感情に結構深く共感したりしました。
作者の方々は武蔵野美術大学の手描きアニメ制作団体「ブラウン管」に所属されている方々のようでして、こんな自主制作アニメを作ってらっしゃるようで。

本の間に挟まっていたチラシには「新企画、進行なう!」と、大学祭で新作アニメ展示を予定しているということで、こちらも結構気になっていたり…。



「みかん日和①」めそめそ(メソリウム)
常にマイペースなエーコが働く職場は、ポンジュースの蛇口を売る小さな営業所。小さいながらも生真面目な所長、エーコ同様マイペースな同僚の山下、所長大好きな経理のネネの4人で、ゆっくりと仕事の日々は回っていく。
素朴でポップな絵柄に惹かれて読んでみましたが、イイ感じに肩の力が抜けた4コマ。周りを気にしないゴーイングマイウェイな性格ながらも、意外と細かい所でツッコミセンスの冴え渡るエーコ(太眉&二つ結び)がとてもかわいい!登場人物の誰もが、噛み合ってないようでやっぱり微妙に噛み合ってないコミュニケーションがとってもツボ。
作者の方は空中庭園という名義で音楽活動も行なっているようで、合わせてアルバム『HOME』を買ってみましたがこちらも何とも良い感じでした。身近な世界を静かに歌いつつ、無限に広がる世界を思うポップス。肩の力が抜けたまったり感は共通しているように感じたり。

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ドヴォルザーク交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」』留守Key
チェコの作曲家・ドヴォルザークのもっとも有名な交響曲として知られる交響曲新世界より。「新しい音楽」が隆盛していた時代、「新大陸」として発展の道に邁進していたアメリカ。伝統と革新が揺れ動く時代の中でドヴォルザークは何を考え、どのような思いを込めて曲を作り上げたのか…。
コミティアには史実を題材にした作品を作る方々も多く見られますが、こちらはクラシックの作曲家とその作品に焦点を当て、彼らの道のりをコミカライズした作品。時代の境目に生きたドヴォルザークの思いや切なさにグッとくると同時に、後半の解説はクラシック音楽に全然詳しくない自分でも、いっちょ曲を聴いてみるかと思える文章。


コミティアは本当に大規模かつマジに魅力的な作品が溢れているので、1日でじっくり見て回るのは結構気合と体力(とお金!)がいるのですが、ふとした切っ掛けから新たな世界に触れることが出来る感覚があって、本当に大好きなイベントです。他にもナイスな作品を読むことが出来てホクホクしているので、機会&時間があればまた感想を書きたいです。