踵を踊らせて

コンマ打つときにコツがいるのよ

20221120_THE PIANO ERA 2022 Day1が良かったよという話

・THE PIANO ERAというライブイベントに行ってきました。ピアノをメインに扱うアーティストが集まって行われるライブで、今回コロナ禍での延期を挟み3年振りの開催。私は今回行くのが初めてです。場所は目黒のめぐろパーシモンホール
http://www.thepianoera.com/

・いわゆるライブイベントが徐々に復活傾向にあって、私個人も夏に渋谷のO-eastに行ってはいるけれど、いわゆるコンサートホールに音楽を聞きに行くのは本当にいつ振りだろう? というくらい。場所は2階席の4、5列目でステージ正面。ああいうホールの2階席ってメチャメチャ高いんだよな、ということを改めて思い出すくらいには久しぶり。
・出演アーティストは日本含め世界各国から3組ずつ。2日目はまた全然違うので、こっちも行きたかった…。
・以下は各ミュージシャンの感想。



○CICADA
・台湾から来た室内楽アンサンブル。ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・ガットギターの4人編成。ポストクラシカルというか、ミニマルな音数で構成された抑制的なアンサンブルで、楽器の音そのものを聞かせてくるという印象。
・披露された楽曲の多くが台湾の自然に着想を得たというコメントがあり、「映像的」なんて言葉も思い浮かんだり。これは映画のサントラをやっているという前情報からの印象かもだけど。

youtu.be

・小さな音で奏でられる音楽をBGMのように聞き流すのではなく集中して聞く、という体験自体が久々だったので、そういう意味では個人的に一番シリアスに聞いたかも。極限まで音数を減らす中で作り上げる音の重なりが真面目だな……と思いつつ、楽曲自体は美しくて気持ちが良い。
・といいつつどこかでハプニングがあったのか、曲を途中からやり直すような場面もあって、そこはちょっと微笑ましくもあった。

○haruka nakamura
・ピアノとギターとヴォーカル(時々ヴァイオリン)のトリオ編成。こちらも非常に抑制的なアンサンブル。ピアノの音は意図的に小さく、特徴的な歌声とギターを膝に載せて響かせる爽やかなノイズが心地良い。微かな音を重なり合わせてメロディアスな世界を作り上げるという印象。星空のようなステージライティング、メンバーの横に置かれた明かりも印象的。
・ライブではあまりやらないというNujabes「Reflection Eternal」のカバーが最高で、かつそこから「Love Theme from Spartacus」に行く流れがヤバくてマジでブチ上がってしまった。
youtu.be

・と思ったけれど1日たってからあれはおなじNujabes「Final View」のカバーだったんだなと思い直した。

・最高だったことには変わりないけれど。最後は敢えてピアノのマイクを切って「音を拾いに来てください」といって奏でられたソロまで非常に聞きごたえのあるステージ。
・来月バンドセットでのライブがあるらしいけれど……見てえよ~~~!!!! という気分になってる。

○Tatiana Parra & Andrés Beeuwsaert
・今回ピアノエラというライブそのものがあることを知ったのがアンドレス・ベエウサエルトという人の存在。
・2012年頃にたまたま渋谷のタワレコで手に取ったアンドレス・ベエウサエルトのソロアルバム「cruses」が大好きで、今も時々折に触れては聞いているのだけれど、そういや最近何やってるんだろう……と検索を掛けたら今回のライブの情報がたまたま出てきたので、こいつは貴重なチャンスじゃいと思わずチケットを買っちゃったというワケ。

アンドレスはアルゼンチンのピアニストで、コンテンポラリーフォルクローレというシーンの中心人物と目されているけれど、一方のタチアナ・パーハはブラジルのシンガー。大分前にコラボアルバムを出して、当初は2020年に来日予定だったのがコロナで流れてやっと今回来日…という流れらしい。
・前2組の演奏が「静」に寄っていたからか、ステージの「動」を一気に2人が担うようなエネルギッシュかつ緻密でテクニカルなステージで本当にすごかった。
youtu.be

・元々のコラボアルバム『Aqui』を聞いたことがなかったことが悔やまれる(中古で凄い値が付いてる…)けれど、ソロアルバムやアンドレスがやっていた「Aca Seca Trio」のナンバーを生で聞くことが出来たのはシンプルに嬉しかった。途中で連弾をしたりするパワフルさも楽しくて、マスクをしつつも思わず声が漏れてしまう。
・サプライズだったのが、タチアナがリスペクトしているというコトリンゴの「こどものせかい」を日本語でカバーしたこと。これもまた個人的に学生時代によく聞いていたので、最初は嬉しいよりもマジかよ!?? という驚きのが勝ってしまった。色々なことを思い出し、それが今現在目の前で繰り広げられていることに対して感情が追い付かず、ちょっと泣いてしまった。
・やはりラテン系の人たちなのかステージ上でのパフォーマンスも親しみやすくて暖かいけれど、さらっと凄いことをしていて体力を一気に使ってしまったよ。

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・凄い演奏は本当に凄く、色んな刺激を受ける夜でした。心残りがあるとすれば、物販のCDをもっと沢山買いたかったことくらいでしょうか。(給料日前なので…)
・やっぱり物事は現地に行かないと何も分からないもんだな~という思いを新たにしつつ、いつまでこうしたことが出来るかは分からないけれど、出来得る限りは面倒くさがらずにインプットとアウトプットをしないとな~といういつも思うことを再び思うなど。
・何はともあれ本当に良いライブでした。